異素材繊維のシート化技術
ガラス繊維
ガラス繊維をはじめ、さまざまな繊維のシート化を可能に。
一口に異素材繊維といっても、種類は多岐にわたります。ガラス繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、PEI(ポリエーテルイミド)繊維、金属繊維。繊維であればあらゆるものが研究開発の対象となります。異素材繊維のシート化は、王子エフテックスが長年紙を作ってきたノウハウが存分に生かされており、その方法は基本的にどの素材も同じです。繊維を水に投入するところから始まりますが、そのままでは繊維同士がくっついてしまいますので、きれいに分散させる薬品を加え、その後抄紙機で抄造します。繊維のサイズはお客様の要求特性によって選びます。たとえばガラス繊維は標準で長さが10ミリ、太さが10ミクロンくらいですが、建材用途ではもっと太い繊維を使用し、剛性を高めています。 変わったところでは、蚊取り線香を置く台にもガラス繊維のシートが使われています。身近な蚊取り線香もなかなか難しく、蚊取り線香の火が消えてもいけないし、蚊取り線香から出るヤニをガラス繊維が吸収するようにする必要があります。繊維をつなげる接着剤も熱で溶けず、おかしな臭いが出ないよう種類を選びます。ガラス繊維はパルプ繊維と混抄し、目の詰まった印刷適性に優れた紙も製品化しています。 |
活用領域をますます広げる異素材繊維のシート化。
これからの可能性が大きいものとして、カーボン繊維の応用があげられます。カーボンは鉄と同じくらいの強度をもちながら軽いのが特長。ただし、カーボン繊維は繊維が長いものが一般的で、複雑な形状にプレスしにくいという欠点があります。私たちは短いカーボン繊維をランダムに絡み合わせて、成形性に優れたカーボン繊維シートを開発しました。加工しやすい短いカーボン繊維のシートを利用することで、アイデア次第でこれまでにないカーボン繊維の活用が可能でしょう。カーボン繊維は他の繊維といっしょに抄紙することができるという特長もあります。PEI繊維は高い強度や剛性、耐薬品性を持ち、耐熱性が高いことが特長ですが、カーボン繊維を混抄することによって熱プレス成型が可能になります。セラミックシートは耐熱性を生かした利用や、薬品を含浸してケミカルフィルターとしての利用など、幅広い分野で活用されています。このように、何を混ぜるかによって特長を変えることができます。更にシート化した不織布素材を複数組合せ成型が可能で、表裏の素材を変えることで特徴を付けたり、中芯の素材を安価なものにするなど、お客様のご要望に応じた素材の開発が可能です。たくさんのご要望、ご相談をいただきたいと思っています。 |
カーボン繊維 成型シート |
加工見本
成型シート |
平型バッテリーケース |
薄物成型 |