製品紹介

塗工技術

要求に合わせて適正なシリコーンを選択・開発

紙を作る工程は、原紙を造ることがすべてではありません。製品によって、原紙を加工することでさまざまなニーズに対応しています。たとえばシールやラベル、粘着テープなどの粘着剤を保護する剥離紙は、粘着剤が触れる面には粘着剤が付かないよう、シリコーンなどの剥離処理剤を塗工します。そのとき粘着剤の種類によって剥離力は変わり、また用途によっては剥がれやすい方がいい場合もありますので、それに合った剥離力のシリコーンを選択します。要求にあった性能のシリコーンが既存品にない場合は、新たに設計し開発しています。


シリコーンには溶剤系と無溶剤系があり、無溶剤系のシリコーンはロールの早さをコントロールすることで塗られるシリコーンの量をコントロールしています。溶剤系の場合はグラビアロールを使い、シリンダーの版の深さによってシリコーンの量を決定するとともに、シリコーンの濃度で付着量をコントロールします。そして塗り終わったものはシリコーンがきちんと硬化しているかを確認し、剥離力を検査して出荷となります。

王子エフテックス株式会社 中津工場  研究技術部 松岡一郎

剥離紙と剥離フィルム

剥離基材には紙をベースとした剥離紙とフィルムをベースとした剥離フィルムがあります。

食品用セパレート

食品用セパレート

剥離紙の場合、原紙にはグラシン紙や上質紙、クレーコート紙などさまざまなものが使用されます。通常の場合シリコーンなどの剥離剤が紙中に沁み込まないようポリエチレンなどでラミネートしなければなりませんが、中でもグラシン紙は繊維を細かく叩解しているため密度が高くシリコーンは沁み込みにくいので、ラミネートせず、直接シリコーンを塗ることができます。また印刷を施すことも可能です。このグラシン紙による剥離紙は剥がれや易い特徴の他、撥水性もあるためクッキングシートや肉まん、焼き菓子、蒸し料理など食品の調理用途にも広く利用されています。
一方、剥離フィルムは、OPP、PET、CPP、PEを主とする各種ベースフィルムに剥離剤の塗工をしています。電子部材関係や湿布の剥離基材としても広く利用されていますが、剥離フィルムの技術的課題は、シリコーンを硬化させる際のフィルムの変形です。剥離フィルムのシリコーンは熱硬化性シリコーンですので、シリコーンを塗工した後に熱を加えてシリコーンを硬化させますが、フィルムの場合は熱によって収縮変形してしまう場合があります。そのため、塗工時の乾燥や張力条件には細心の注意を払い加工を行っています。
フィルムセパレート(剥離フィルム)

フィルムセパレート
(剥離フィルム)

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